若杉原生林と峠の地蔵

~あわくら歴史街道~ H15.11
 
若杉原生林の写真  若杉原生林は村の東北端にあって、北は鳥取県智頭町及び若桜町、東は兵庫県千種町に接しています。標高約950m~1180m、面積83haと広大なものです。
この地方は砂鉄の産地で、近くに元禄年中より稼行していた永昌山鉄山の遺構があります。当時は幕府の御林山であったため、乱伐を免れ今日の林相が残存していると言えます。
明治より国有林となった当山を、大正7年(1918)に31,580円で村が買い取り村有林となり、その後、昭和32年森林法の改正に伴い、一時植林化の声もあったが、同33~34年(1958~1959)、村当局の要請により岡山大学林学教室岩村教授他による林相及び植物調査の結果、貴重な「資源の宝庫」として是非保護すべきとの折り紙付きで保全することになりました。

 昭和44年(1969)「氷ノ山、後山、那岐山国定公園」に指定され、林内に遊歩道、休憩所、便所、駐車場などの整備も進み、森林浴に一層の便宜が図られました。林相は300年近いブナ、ナラ、カエデ、トチ、杉などを始め、199種の植物、アカゲラ、ウグイス他、珍獣、珍鳥類も多く生息していて、昭和61年には「日本森林浴百選」の内に選定されています。
昔、若桜街道といわれた本谷の坂道を登れば若杉峠(鳥取県境)、峠には宝暦4年(1754)建立の地蔵様が祀られています。因州若桜、吉川村方面への往来もかなりあって、峠越えの無事安全を祈ると共に感謝の心の拠り所としていたのだろう。今は峠越えの人はなく、文字通り深山幽谷、巨樹は天空を覆い、時には霊気さえ感じる静けさでもあります。

    吉野川 そのみなかみを たずぬれば
          むぐらの雫 萩の下露

 
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